2008-09-26 「落下の王国 – The Fall -」はタイトルのつけ方が絶妙すぎると思う

日本では主に衣装デザインが石岡瑛子さんということで話題になっているのではないかと思われますが、結論から言うと、とってもとってもおもしろい映画でした。以下、素直な感想なので、多少のネタバレが含まれます。ご注意ください。
テレビでの紹介やプロモーション映像などでは、かなりアーティスティックな作品という印象を受けます。アーティスティック=わかりづらい、という構図が真っ先に浮かびますが、前情報からの印象とは打って変わって、かなり分かりやすい作品と言えるのではないでしょうか。
青年が少女に語り聞かせる物語と現実の病院での出来事とを行ったりきたりしながら物語が進みます。しかしながら、物語世界と現実世界との描写にかなり違いがあるため、どちらがどちらなのかあえて分からなくさせるというような表現手法ではありませんでした(後半に進むにつれ、現実世界の状況が物語世界に反映されてきますが)。
映像としての醍醐味は、やはり前情報でもかなり話題になっている映像美だと思います。世界各国の世界遺産や絶景を舞台に撮影しただけあって、それだけでも十分に背景が美しいのですが、ひとつひとつのシーンが、写真のように計算されて撮影されています。だからといって映像としての不自然さもなく、見ていてとても清々しい気分になります。人(もの)のバランスがかなり計算されているのですが、それよりも単純に目を引くのは色です。個人的に一番美しかった色は、序盤に出てくる砂漠のシーンですね。空(青)と砂漠の丘(茶)と砂漠の地面(白)の対比がとても美しい地球色でした。
で、やはり石岡瑛子さんの衣装がとても美しくその背景に映えておりました。素敵です。ダーウィンの衣装が鳥っぽくていいです(ってゆーか鳥)。あと、元奴隷の人(名前覚えてない)の衣装もグッときました。石岡さんは本当に素晴らしいデザイナーですね。現代の日本人で、多ジャンルにおいて真の意味で実力を示している人は他にいないのでは。いや、とにかくグラフィックに始まりファッション(映画・舞台衣装ですが)で活躍というのがよい。うらやましい。くう。
映像美という点では物語世界の描写に目が行くわけですが、一方の現実世界におけるいちばんの注目点はというと、主役の女の子ではないでしょうか。ちょっとぽっちゃりしていて、決して美少女ではありません。が、so cute! スカートをめくり上げてぽってりした腹を出し、看護婦さん(って今は言っちゃあいけないのか。でも看護師さんとは言いたくない。看護師さんって言うと色気がない。ってこれが差別なのか)の口紅で、歌いながら自分の腹にバタフライの絵を描くシーンが最高!
そういえば、前半で像が海を泳ぐシーンがありました。泳げない仲間を象に乗せて、他の人達は海を泳いで陸を目指すシーンです。海中から象を撮影し、象の足がゆっくりと前後に動く様を見ていると、10人に2人くらいはグレゴリー・コルベールを思い出すはず。ぜひ劇場にてご覧くださいませ。