地獄八景亡者戯

“地獄八景亡者戯”

本文抜粋
恐ろしく古風な「地獄八景亡者戯」といぅ噺を聞ぃていただきます。あの世へご案内しょ〜といぅわけで、どっち道まぁ人間いっぺんは行かないかんところでっさかいな、まぁホンマに行くより前に、落語でいっぺん知っといてもらおかといぅわけで。

えぇ、ここにございましたのが我々同様といぅ、もぉいたって気楽な男で、よそから大きなサバをもらいまして、手料理でこいつをアテにして一杯呑んだところが、それに当たったんですかなぁ、ゴロッと横になって寝ますと、夢ともなく現ともなく、空々寂々として暗ぁ〜い所へ出てまいりました。

前へ行く者、あとから来る者、銘々角帽子といぅ三角の布を額に当てまして、首からは頭陀袋、麻幹の杖を手について、糸より細ぉい声を上げ「お〜〜いッ」

もぉし、そこへお出かけになんのは伊勢屋のご隠居と違いますか? あぁ、やっぱりそぉや。伊勢屋のご隠居!
おぉ、こら誰やと思たら喜ぃさんやないか。えらいとこで会ぉたなぁ
えらいとこでお目にかかりましたなぁ、まぁまぁ、ご機嫌よろしゅ〜
あんまりご機嫌えぇことないでこれわ、こんなとこで会ぉてんねや
あぁホンに、お変わりも……、変わりすぎるしなぁ、どない言ぅて挨拶してえぇねや分からん。

まぁまぁ、挨拶なんかどぉでもえぇが、ホンマにえらいとこで会ぉた
わて、あんたのお葬式、手伝いに行きましたんやで
来てくれてたなぁ
分かってますか?
分かったぁるがな、わしゃ棺桶の隙間から見てたんやズ〜ッと「あぁ、あいつも来てくれてる、誰それも来てくれてるなぁ」と思て
さよか。立派なお葬式でしたなぁ、金々もぉもぉとしたお飾りがしてあって、お供えが山のよぉで、香典かてぎょ〜さん集まってましたで。

あの香典の中から、おまはん千円誤魔化したやろ
そんなん分かってますか?
分かったぁるがな。何であんなことをすんねん?
いや、誤魔化したわけやないんです。帳場あずかってたんが煙草屋の大将でな、お金を勘定してはソロバンを入れて「千円余る」またソロバン入れ直して金勘定して「千円余る……」あんまり気の毒なさかい、ちょっと千円誤魔化したら「あぁ、ちょ〜ど合ぉた」ちゅうて……

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