蕪翁句集 巻之上
几菫著
春之部ほうらいの山まつりせむ老の春
日の光今朝や鰯のかしらより
三椀の雜煮かゆるや長者ぶり
離落
うぐひすのあちこちとするや小家がち
鶯の聲遠き日も暮にけり
うぐひすの鹿相がましき初音哉
鶯を雀歟と見しそれも春
畫賛
うぐひすや賢過たる軒の梅
鶯の日枝をうしろに高音哉
うぐひすや家内揃ふて飯時分
鶯や茨くゞりて高う飛ぶ
うぐひすの啼やちいさき口明て
禁城春色曉蒼々
青柳や我大君の艸か木か
若草に根をわすれたる柳かな
梅ちりてさびしく成しやなぎ哉
捨やらで柳さしけり雨のひま
青柳や芹生の里のせりの中
出る杭をうたうとしたりや柳かな
草菴
二もとの梅に遲速を愛す哉
うめ折て皺手にかこつ薫かな
白梅や墨芳しき鴻ウ舘
しら梅や誰むかしより垣の外
舞/\の場もふけたり梅がもと
出べくとして出ずなりぬうめの宿
宿の梅折取ほどになりにけり
摺子木で重箱を洗ふがごとくせよとは、政の嚴刻なるをいましめ給ふ、賢き御代の春にあふて ……
覚え書き
きれいに円形の粒子の集まりが見える。俳句なので一文が短く、粒子の列ができにくい。
